さび止め塗布対象物の前処理・塗布方法
野崎正剛
塗布方法
前処理(除膜、洗浄、乾燥工程)の済んだものは直ちに塗布工程に移さなければなりません。
乾燥したまま大気中に放置すると水分凝縮、塵埃付着等により金属表面が再び汚染することになり、せっかくの前処理効果が低下してしまいます。
錆止め剤の塗布方法は対象物の形状、大きさ、構造、さび止め剤の性質及び塗布設備器具等から判断して決定しますが、塗布被膜を完全に均一にすることと金属面を完全に被膜することが大切です。
塗布には主に以下の方法があります。
●浸漬法
最も広く利用されている方法で、さび止め剤中に対象物を浸漬してから引き上げ油を切り、乾かして被膜を形成させる方法です。特に留意すべき点として以下の事項が挙げられます。
▲浸漬用タンクの大きさ及び付帯装置
▲加熱温度と膜厚とさび止め能力
さび止め油の膜厚や使用量はその粘度に影響するためさび止め油は適度な温度に保たなければなりません。
また加温する時は直火を避け、金属表面に空気泡が残らないように注意する必要があります。
(溶剤を使用しているさび止め油は適しません)
●噴霧法
浸漬法が適用できない大物、構造物等の塗布に適します。
噴霧用ノズルは詰まりやすいのでできるだけ口径の大きいものを用います。
高粘度品やペトロラタム型品も適用するため、加熱装置を備えたものも使用することもあります。空気圧は通常7kg/cm2程度です。
●ハケ塗り法
屋外構造物や数の少ない部品等で浸漬法や噴霧法が適用できない時に用います。
非常に簡単な方法であるが、非効率的で塗りムラが生じ易いので、なるべく2~3回の重ね塗りをする必要があります。
●転がし塗り法
円筒型の対象物、例えばポンプ、パイプ等の内部をさび止めする場合などこれらの中へ錆止め剤を流し込み、回転させたり、傾斜させたりして被膜を形成させる方法です。