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2016/12/16

さび止め油剤の種類(JISでの分類)

野崎正剛
ブログ

さび止め油剤の種類、(JIS K 2246)には約15種類のさび止め剤が規定されておりその種類は形成される塗膜の性質によって区分され軽質なものから重質(高粘度や硬膜質)のものまで広範囲に及んでおります。

この他にも特殊なものに使用する特殊な防錆剤がたくさんあるのが現状です。

1種類の防錆剤だけであらゆる機械、器具の防錆が可能であるような都合のよいものが存在しないからであります。

しかしながらこのような色々なさび止め油が常に広く使われているというわけではなく実際に広く使われている物は多くはありません。

とりわけ多く使われているのはNP-1、NP-2、NP-3、NP-6の4種ぐらいで次にはオイルタイプのNP-9とNP-10であります。

後者の軽質さび止めオイルは精密機械やエンジンなどの内部防錆に定評があります。

 溶剤希釈型さび止め油

アスファルト、ペトロラタムなどを溶剤にまたは分散させたさび止め油で、散布後溶剤が揮発して硬質皮膜(NP-1およびNP-19)ないし軟質皮膜(NP-2およびNP-3)を形成する。NP-3は水置換性を持っています。NP-1、NP-2、NP-19は比較的長期の防錆に適します。

 NP-1 溶剤希釈型さび止め油 硬質膜

アスファルト、樹脂その他の配合剤(不揮発性材料)を石油系溶剤(灯油、ナフサ)に溶解したもので、溶剤が揮発した後は硬質非粘着性乾燥防錆皮膜(乾いて硬い膜)を作ります。

浸漬、噴霧、はけ塗りなどいずれの方法でも散布が行われるがアスファルトを主成分とする関係上、外見は黒く下地の見えない欠点があります。

日光、暴風雨、気温の寒冷なところででも膜が脆弱にならないように配慮されております。さび止め油の中でも耐久力、防錆性能は最も優れ、乾燥後は皮膜がべたつかず擦過に対する抵抗が大きいなどの利点があるが、使用後溶剤による皮膜の除去が他のさび止め油と比べて困難です。

金属素材の1~1年半の屋外集積、海外輸送時などに主に用います。

乾燥皮膜を必要とする高度仕上げ面を有しない部品に対して適用され、溶剤で除去する際、損部を受ける部品、設備あるいは複雑な組立部品には適用し難い傾向があります。

カバー、包装なしでもそのまま利用できるので手工具、土木具類、鋳造部品、鍛造部品、ワイヤーロープ、ケーブルドラム、板ばね、車両等大型機械の露出部品の精密加工されていない面や、簡単な組み立て部に適用されることが多いです。

引火点の規格は最低が38℃ですので注意が必要です。

 NP-3 溶剤希釈型さび止め油 軟質膜

水置換性を有するのが特徴で、乾燥しない軟質の薄膜を形成します。

通常のさび止め油は水に濡れた面に塗布しても防錆効果はあまり期待できないがNP-3のように水置換性を有する防製油は金属面に付着している水分を押しのけて金属表面にさび止め油が直接吸着するようになる特徴があります。

NP-3では金属表面の水を置換するためには多少の時間を必要とし、通常はNP-3で機械内部を満たししばらく放置した後排出する方法がとられます。

一般に広く金属製品の防錆あるいは防錆の前処理用に使用されます。

●裸の金属面から水分を簡単に置換してしばらく防錆したい場合

●6ヶ月ぐらいまでの屋内に保管する機械、器具の内面を防錆したい場合

●裸の鉄鋼面やリン酸塩被膜を施した面など、グリースプルーフ紙で包んで相当長く防錆したい場合などです。

この油の使用方法は、金属の外面に塗る場合には浸漬、スプレー、刷毛塗りのいずれでも可能ですが、閉塞された内部に塗る場合には詰め込み(falling)法かスラッシング法が良いです。

 NP-19 溶剤希釈型さび止め油 透明硬質膜

樹脂、ワックスその他の配合剤を溶剤に希釈したもので、溶剤が希釈した後に透明硬質の非粘着性皮膜(ロウソクの蝋みたいな)を作ります。

塗膜は透明ラッカー状の物から下地が見える程度の半透明のものまでありますが表面に書かれた記号や透明状態が透視できないと困るような場合にはNP-1より都合がよいです。防錆力はNP-1に次いで強力で用途も似ております。NP-1より速乾性がありひび割れせず1年以上の防錆力があります。この標準的膜厚はP-1の約3/5ですので極めて経済的であります。

比較的高級仕上げされた金属製品、大型機械の精密加工面の防錆にjも用いられ、屋内外両方での使用が可能です。浸漬、刷毛塗り、スプレーのいずれでも塗布できます。

引火点はNP-1と同じ38℃ですので注意が必要です。