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防錆剤
2016/11/08

防錆剤とは

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防錆剤は石油系基剤に防錆添加剤やその他の配合剤を添加したもので、機械類、 鋼鉄材料などの保管、輸送あるいは中間工程用として一時的防錆に用いられ石 油系溶剤で簡単に除去できるのが特徴である。

「一時的」と言う言葉は防錆期間が短いと言うことよりも、必要に応じて容易に除去できる表面処理と言うことに重点があり、塗装、めっき、ライニング などの最終的な表面処理と異なることを意味する。

このような防錆の使用目的 からして、防錆油に要求される防錆期間は比較的短い場合が多いが、週一回程 度から数年と広範囲にわたっている。

  

防錆添加剤を添加してある石油製品には防錆剤以外にもタ-ビン油、油圧作動 油、ギア-油、エンジン油など各種高級潤滑油があるが、これらは使用時に混 入してくる水分による潤滑系統内の発錆を防止することが主目的であり、防錆 油のように薄膜で十分な防錆力を発揮するものではないから防錆油とは呼ばな い。

このほか、切粗油やプレス油などの金属加工油では加工後の金属製品の防 錆が必要とされる場合があり、最近ではある程度の防錆性を兼ね備えている製品もある。

 

防錆油は、第二次世界大戦中に米国を中心として発展したもので、米軍が多湿 高温の主戦場へ兵器資材を輸送、保管する際に際し、その防錆剤を苦慮した結 果、いわゆるP系列防錆剤(防錆油、気化性防錆剤)等が生まれたものである。

現在では米軍の防錆包装通則である MIL-P-116G(1977)により15種類のP系 列防錆剤に整理されている。我が国の防錆油は朝鮮戦争を契機として米軍によ りもたらされたもので、その後民間産業に普及するにしたがって MIL 企画に準 拠したさび止め包装方法通則(JIS Z 0303)が 1959 年に制定され、NP系列防錆 剤が系統化された。

これにより防錆油規格として溶剤希釈型さび止め油 (JIS Z 1801)が 1960 年に設定されたのを皮封切に順次、さび止めペトロラタ ム、さび止め潤滑油、指紋除去型さび止め油、さび止めグリ-ス、気化性さび 止め油が制定された。

その後、1978 年には溶剤希釈型さび止め油に NP-19 が新 たに加えられると共に MIL 規格の防錆性能の向上に対応して、防錆性能の規格 値全般の見直しが行われた。

 

1980 年には石油製品の JIS の全面的な整理、統合 の一環として防錆油の品質企画及び試験法のすべてが JIS K 2246 としてまとめられ、名称、種別の一部変更が行われ現在に至っている。

現在市販されている 防錆油を新たに体系化することは容易でないが、防錆油の基本的体系としてま た我が国の公的規格としての JIS 防錆油の重要性は変わりはありません。