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2016/12/16

さび止め性能の試験方法

野崎正剛
ブログ

さび止め油を実験室的に評価するためのさび止め油試験方法(JIS K 2246)では湿潤、塩水噴霧、加速風化などのさび止め性能試験で、さび発生度を測定する方法を次のように規定している。

1.湿潤試験

室内温度49±1℃、相対湿度95%以上の試験装置(湿潤箱)に試験片を吊り下げ、規定時間あるいはさびが発生するまでの試験を行い、さび発生度を測定します。

この試験は高温高湿化における鉄鋼製品の貯蔵あるいは輸送中におけるさび止め性能と関連がある試験です。

 2.塩水噴霧試験

35±1℃の噴霧試験箱内の規定された位置に試験片を置き5%食塩水を1.0~2.0ml/80cm/hの割合で噴霧させ、規定時間後試験片を取り出し、さびの発生度を調べます。この試験はさび止め油のさび止め性能評価試験方法の中で最も過酷な試験の一つで、海岸地帯や海上輸送などの海水ミストによるさびの防止能力を評価するものであります。

 3.加速風化試験

この試験は紫外線を照射しながら63±3℃で断続的に人工降雨を降らせ、人工的な屋外暴露条件でさび止め性能を評価するものであります。塗料の試験に多用されているさび止め性能試験です。

 4.包装格納試験

この試験はさび止め油被覆試験片をさび止め用耐油性バリアー材で包み、任意の板紙箱に収納し、所定期間経過した後包装を開き、試料を石油ナフサで拭い取った面を観察し、さび発生度を測定します。あわせてオイルスティン等の異常についても調べることができます。

 5.指紋除去性試験

食塩、尿素、乳酸からなる人工指紋を付着させた試験片を、指紋除去装置を用いて洗浄、乾燥し、簡単な恒湿器(少量の蒸留水を入れたデシケータなど)に入れ、20~20℃で24時間放置した後のさび発生の有無によって、指紋除去能力を評価する試験です。

 6.水置換性試験

試験片を精製水にさっと浸した後、水を切り、10%の精製水を加えた試料油中に15秒間浸漬し恒湿器中で1時間放置後さび発生の有無を検査する試験です。

さび止め油を塗布する場合、金属表面に付着している水を除去する能力がないとさび発生の原因となり、特に水溶性切削油剤で工作した鉄鋼製品をさび止め処理する場合には、前処理油として水置換性の優れたさび止め油が必要となります。

 7.格納貯蔵試験

この試験では日光や風雨に直接さらされずに貯蔵された状態での評価試験で、下段に貯水槽を設けた格納箱にさび止め油を塗布した試験片をいれ、規定時間後のさび発生の度合いを見るものです。実用条件に近いということでさび止め性能の基本的な試験ということがいえるが、試験場所、季節、気象条件によって結果が異なるため同一の試験条件による異種油との比較試験には適していますが、異なった場所、異なった季節での結果は単純に比較できない欠点があります。